蜜蝋シートの歴史

honey

養蜂の父と呼ばれるラングストロース(1810-1895)が、遺した近代養蜂技術の遺産といえば、可動式の巣板に適切な間隔を取り、巣箱に収める養蜂スタイルです。

当時、この技術の開発に伴い、巣板の基礎となる蜜蝋をいかにシート状にするか?という研究が欧州、米国の各地で行われていました。

1840年代のドイツでは、ゴットリーブ・クレッチマーが蜜蝋をプレス加工した最初の人物であるという説があります。1857年、同国のヨハネス・メーリングによって、プレス工程の機械化が進み、1870年代にはアメリカで金属製のローラープレス機の開発が行われました。

1920年代のイギリスでは、巣板の素材の代替案として、木製・金属・布・紙が試行されましたが、いずれも技術的に長続きしませんでした。蜜蝋を材料にして作られた巣板は、気温・湿度の変化に柔軟です。価格的な面で採用が期待されるパラフィンは(種類にもよりますが)、一般的に蜜蝋よりも融点が低く、巣内温度が上がった時などには巣の強度に影響することがあります。

1880年6月14日付のNZ・ヘラルド紙には、巣礎をパラフィンにした場合に生じた出来事が書かれてあります。記事には、ラングストロース式の養蜂技術に占める蜜蝋板の重要性を察する観察日記もあり、時を超えて通じるものがありますね。

14 June 1880. MODERN BEE CULTURE. New Zealand Herald, Volume XVII, Issue 5795, Page 3

1880年当時、すでに現行の約42センチ×約22センチの蜜蝋シートが使われていたということで、日頃、キャンドル素材として蜜蝋を扱うものといたしまして感慨深く感じます。

はちみつショップぷちはににて販売中の蜜蝋シートは、標準的なラングストロース式巣箱に装着する巣礎のサイズです。蜜蝋の歴史を思い描きながら、蜜蝋シートを成形すると、普段の生活が何層にも深みを増すような気がしてなりません。雲をつかむような概念に接して、それが形になって表れた時の喜びのように。

はちみつショップぷちはにでは、お必要とされます蜜蝋をできる限りご準備いたしまして、ご来店をお待ち申し上げております。

【追記】開店間もなく初めて書いたブログ投稿は、2008年12月23日「美術史上の蜜蝋の光 映画『レンブラントの夜警』」でした。